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DUCATI 1098S スタッフ試乗記

2007年4月5日。
富士スピードウェイの本コースにて、話題のスーパーバイク“1098”のディーラー向け試乗会が行われ、全国より集まった関係者一同が1098のテストライドに酔いしれた。

以前から考えていたことであるが、愛車999sとの徹底比較を何とか実現したかったので、無理を押し当日の午前中に筑波サーキットへ出向き、しっかりと1時間ほど走り込んでみた。999Sの感覚を身体に染み込ませた後に、1098の待つ富士スピードウェイへと急ぐ。
簡単なブリーフィングを受けた後にレーシングスーツへと着替え、念願のサーキット試乗がスタートした。
以下約6分間、3周のみという短い試乗時間で感じたことを列記した。

この日先導を勤めたのは国内スーパーバイク選手権をDUCATI・749Rで参戦中の須貝選手。
ホームストレートを強烈な勢いで疾走していく姿に、軽い緊張感を覚えた。

さて、車体に跨りエンジンをスタートさせる。足付きの良さは過去のスーパーバイク中No.1。
乾燥重量171kgというライトウェイトとの相乗効果で身長の低い人でも安心できる。
試乗車はもちろんフルノーマルだったのだが、エンジンの排気音が意外に野太かったのが印象的。
999sよりも鼓動感のある排気音は心地良いパルス感を生み出し、躍動感あるアイドリングを醸し出している。

新開発のテスタストレッタ・エボリツィオーネエンジン(以下TSE)と、完成度の高いサイレンサーに改めて感心する。
クラッチミートと共に前へ出る様は、近年のDUCATI−Familyの中でも群を抜いて発進し易いと断言できる。まるで湿式クラッチと勘違いしてしまうほどにイージーだ。
低回転に力があるので、坂道発進などでは今までのどのモデルよりも安心して行えるであろう。

ピットロードから抜け出し、下る右の第1コーナーからストレートを一気に加速する。
1つ1つの排気音がしっかりと独立しているような、とても心地の良いサウンドを楽しんでいるうちにスピードメーターが急上昇する。そして左コーナーへとアプローチする。以前999Sで走った時と同じように体重を左に預ける。
軽い!

その異常なまでの軽さに曲がり過ぎて、一気にイン側の縁石めがけてマシンが向きを変える。
フルバンクしているわけでもないのに、この旋回性。そして何より軽さ!
バイクの立て直しも、車輌の軽さが手伝いとても余裕をもって行う事が出来る。
少し大げさかもしれないが、コーナーの最中にスラロームすら出来てしまうような錯覚に陥る。
400ccのバイクより軽く感じる操作感は、2ストロークのレプリカマシンを思い出させた。

そして富士スピードウェイ名物の1.5kmのホームストレートで一気に加速してみた。
見慣れぬデジタル式のメーターに戸惑いながら、次々とシフトアップをしていく。
強まる風圧から逃れる為に、コンパクトな車体へ潜り込むような前傾姿勢を作る。車体が安定するので、高速域でも不安を感じることは一切無かった。

風が頭上をキレイに流れていくのを感じながら、速度はあっという間に270kmを越え1コーナーが迫ってくる。
若干パニックブレーキ的にブレーキレバーを引き込む。スッ!っとブレーキが利き始めると、今までに味わったことの無いくらい車体が安定しながら速度が急激に落ちていく。

大抵の場合は、雑なブレーキをすると多少なりとも車体がぶれるのだが、一切それらを感じる事がない。マシンのホールド感がとても高いので、強烈な減速Gを受けても車体から剥がされそうになることも無い。その安定感が大きな安心を生み、そしてゆとりを作り出すことによって冷静にブレーキの状況を把握する事が出来る。
雑誌などに書いてある『手前で止まってしまう』ブレーキを体感できた。

エンジンの回転が落ちすぎてしまい、2000rpm付近からの立ち上がりになってしまったのだが、TSEエンジンは鼓動感と共にしっかり加速をしてくる。粘り強く、力を感じるそのフィーリングは、一度味わったら病み付きになること間違いないと思う。

今度は少し速度を落として、ツーリングレベルで走ってみる。
するとどうだ。TSEエンジンの鼓動感をじっくり堪能しながら、コーナーを楽しむ事が出来るではないか。
ここで始めて気付くのだが、1098は速く走るのはもちろん、比較的ゆっくりなペースで走っても十分に楽しむ事が出来るのだ。
エンジンの躍動を感じるままに右に左にほんの少し体重を預ければ、スイスイと気軽にコーナーを駆け抜ける事が出来る。鼓動感・安心感そして満足感。すなわちこれは、初心者がゆっくり峠道を走っても十分に楽しめる事が出来る事を意味する。

今回の1098は『サーキットの似合うデザイン』として誕生して、その戦闘的なスタイルとは裏腹に、今までのどのスーパーバイクよりも乗り易いだけではなく、初心者でも楽しめる鼓動感や操作する楽しみ、そして何よりも安全性が作り出す安心感とゆとりを体感する事が出来た。
ある意味、モンスター並みに乗り易く、且つ親しみ易いモデルといっても過言ではないと思う。

ベテランライダーや腕に覚えのあるライダーは、ゆとりの中で様々なライディングにチャレンジ出来るのはもちろんの事、ビギナーライダーにこそ安心して素晴らしいバイクライフを送る為にオススメできるDUCATIの最高峰モデルだと思う。

モト・ギャルソン杉並店 営業 榊原康二

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